黒潮を収めるものはあるのか?考えていたら東大寺南大門断面図(短辺)に引っ掛かりました。扇を二枚重ねたような屋根が掛かっている東大寺の大仏の南、玄関口にある大きな門です。久々に見に行ってみると運慶、快慶の金剛力士像がやけに目立つことに気づき、ふつうは南大門は大きな構造物として一般的には論外な存在だと思いました。
専門的には柱と通し貫で軸組を成し、差し肘木がいくつも補助的にジョイント部分を補強して、屋根下に横に走っている桁の水平ラインの強調がただものではない建物であることを表現しています。より大きかったオリジナルの大仏殿も似たような構造で組み上がっていたとあります。現在の目測で南大門を約3倍にしたのが大仏殿の大きさであることを、若草山に登り合わせて確認しました。現在は大仏様として分類されているようですが、もっと向こうの天竺(インド)様の方がオリジナルに近い分、分かりやすく感じられます。
重源が持ち込んだ南大門と兵庫県にある浄土寺浄土堂は、水平ラインが日本的な走行性をもった稀な造形物だと思います。歴史があり風土を含んでいることが黒潮につながる手掛かりになりました。