神宮の社殿は、教科書の白黒写真のイメージと、現地の森の中に建っている風雨にさらされたグレー色の凛々しい建物。というイメージが私の中にはありました。ところが、せんぐう館で原寸大の大きさをまじかに見た時に、木肌の巨大な物質感、重量感に圧倒され、なぜこんな物が造れるのかを考えさせられました。
あれこれ思いを廻らせながら、内宮の正殿を横方向から見た時に、屋根の上に乗っている砲弾のようなものは堅魚木(かつおぎ)ということは覚えていたので海を連想しました。街道を伊勢湾沿いに歩いてぶつかる山裾にある神宮の向こう側には太平洋があり、神宮の原型を作るときに当時の人達は何をモチーフにしたのか回想し、海で巨大な物体は?となり、思考がクジラに到着しました。
私の仮説ですが、神宮の正殿は人工物ですが木でできているので、生物が持っている存在感があります。クジラと格闘し捕らえ、運び、さばき、食べ終わるまでの人のエネルギーが正殿には感じられます。原型の製作に携った人を通してクジラの持つ絶大な物質感、重量感も表現されているのだと思います。木のクジラというのは失礼な話かもしれませんが、些か外れではないように思います。
堅魚木 長さ2.7m、直径70cm(手持ちの教科書計測)